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重症喘息治療薬の有効性予測マーカーの同定 -血中マイクロRNAを用いた新たな治療選択の可能性-(共同プレスリリース)


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信州大学
静岡県立大学
静岡県立総合病院

重症喘息治療薬の有効性予測マーカーの同定 -血中マイクロRNAを用いた新たな治療選択の可能性-

研究成果のポイント

  • 重症喘息患者は喘息患者の5?10%に該当すると推定され、生物学的製剤の有効性が期待されていますが、その治療効果の程度は患者間で差異があることが知られています。
  • マイクロRNA*1は血液中に比較的安定に存在するため、治療有効性や診断の予測に有用なバイオマーカー*2として注目されています。
  • 重症喘息治療薬投与患者を対象とし、遺伝子転写産物の網羅的解析および血清中マイクロRNAの定量解析を行い、それら結果を統合的に解析しました。
  • 重症喘息治療薬であるベンラリズマブの有効性の予測に有用な血液中マイクロRNAとして、has-miR-7-5pを同定しました。
  • 血液を用いて、今回同定したマイクロRNAを簡便に測定することが可能になれば、重症喘息患者における有効な治療法の選択に貢献できます。

概要

信州大学大学院医学系研究科の平井啓太准教授(医学部附属病院 薬剤部)、静岡県立総合病院 白井敏博副院長(呼吸器内科)、静岡県立大学薬学部 伊藤邦彦教授らの研究グループは、重症喘息治療薬である抗インターロイキン5受容体モノクローナル抗体(ベンラリズマブ)の有効性を予測する血中マイクロRNAマーカーとして、has-miR-7-5pを同定しました。
この成果は、アレルギー?免疫分野の国際学術誌「Journal of Allergy and Clinical Immunology」に7月5日付でオンライン掲載されました。

背景

気管支喘息は全世界で約3億人が罹患しており、そのうち5?10%は重症喘息患者と推定されています。喘息の治療には吸入ステロイド薬が主に使用されていますが、近年では特定のサイトカインを標的とした生物学的製剤が重症喘息治療薬として開発されてきました。しかし、これらの生物学的製剤の有効性は患者によって異なることが報告されており、高い有効性が期待される患者を特定することは容易ではありません。そのため、重症喘息治療薬である生物学的製剤の有効性予測マーカーの開発が求められています。ベンラリズマブは、好酸球の成熟や活性化を促すサイトカインであるインターロイキン5の作用をブロックすることで効果を発揮するため、血液中の好酸球数が有効性の指標となるとされていますが、その予測精度には課題がありました。

研究手法?成果

マイクロRNAは、生体内に存在する小さなRNA分子で、遺伝子から作られるタンパク質の量を調整します。マイクロRNAは細胞間の情報伝達にも関与しており、血液中に放出され安定して存在するため、血液を用いた測定が可能です。病気や病態によって異なる発現パターン(種類や量)を示すことが知られており、診断や治療法判定のバイオマーカーとして有用性が期待されています。そこで本研究では、重症喘息治療薬の有効性に関わる血液中マイクロRNAを探索しました。
ベンラリズマブによる治療を受ける重症喘息患者を対象とした前向き観察研究を実施し、投与後24週において有効性の評価を行いました。はじめに、投与前および投与後24週における血液中の免疫細胞(T細胞)を用い、投与により発現が変動した遺伝子転写産物を網羅的に解析しました。さらに、それら遺伝子転写産物間の発現パターンの類似性を解析し、特定の遺伝子転写産物群が有効性に関連することを見出しました。次に、投与前の血清を用い、マイクロRNAをPCRアレイにより定量し、有効群と非有効群で発現が異なるマイクロRNAを特定しました。そして、遺伝子転写産物の解析結果と血清中マイクロRNA解析の結果を統合的に解析することで、有効性に関連するマイクロRNAのうち、有効性を反映する遺伝子転写産物と関連性の高いマイクロRNAを同定しました。

波及効果?今後の予定

本研究は、重症喘息治療薬であるベンラリズマブの有効性に関連する血中マイクロRNAマーカーを同定しました。本成果は、重症喘息患者における治療の有効性を予測するバイオマーカーを提供し、個々の患者に合わせた治療法の提供に役立つ可能性があります。今回同定したマイクロRNAをより簡便に測定する方法を確立することにより、重症喘息患者の臨床診療に大きく貢献できると考えられます。

論文タイトルと著者

<タイトル>
Identification of potential transcriptomic and microRNA markers to assess benralizumab effectiveness
<著者>
Keita Hirai1, Toshihiro Shirai2, Sekiko Uehara3, Taisuke Akamatsu2, Kunihiko Itoh3
<所属>
1信州大学大学院医学系研究科 臨床薬理学分野?医学部附属病院 薬剤部
2静岡県立総合病院 呼吸器内科
3静岡県立大学薬学部 臨床薬効解析学分野
<掲載誌>
Journal of Allergy and Clinical Immunology
<DOI>
10.1016/j.jaci.2025.06.025
<URL>
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(25)00735-3/
<助成金等>
本研究は、日本アレルギー学会臨床研究支援プログラムおよび臨床薬理研究振興財団の助成を受けて実施されました。

用語説明

*1 マイクロRNA
マイクロRNAは、約22塩基長の短いRNAで、遺伝子発現の転写後制御を行う生体内因子です。ヒトでは約2700種類のマイクロRNAが存在し、それぞれのマイクロRNAは標的のメッセンジャーRNA(mRNA)に作用し、翻訳抑制やmRNAの分解に関与しています。様々な疾患に関連し、診断バイオマーカーや治療効果マーカー、さらには治療標的として臨床応用が検討されています。

*2バイオマーカー
バイオマーカーは、生体内の生物学的プロセスや病理学的状態、治療介入に対する反応を客観的に測定?評価できる生体分子の指標です。血液などから検出され、疾患の早期診断、病期分類、治療効果予測、予後判定に活用されます。
(2025年7月9日)

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